保護者のみなさまへ

坂本 紀子

立志舎高等学校 スクールカウンセラー
公認心理師、臨床心理士、児童福祉士

 文部省(当時)は1992年に「不登校は誰にでも生じる問題」という見解を出しました。
それを受けて児童生徒や保護者が抱える悩みを受け止め、学校におけるカウンセリング機能の充実を図るため、専門的な知識・経験を有する臨床心理士という「心の専門家」を積極的に活用する必要が生じてきました。平成7年(1995年)に国が打ち出した「スクールカウンセラー活用調査研究委託事業」により各学校に配置され始め、その後いじめ問題や東日本大震災をはじめとする災害の発生、貧困問題などから子どもの心をケアする重要性が広まり、全部の公立小中学校でスクールカウンセラーの配置が進められてきました。小中学・高校全体としてスクールカウンセラーが配置されている割合は年々増えています。
 スクールカウンセラーは、児童が抱えている問題に学校ではカバーし難い多くの役割を担い、教育相談を円滑に進めるための潤滑油ないし、仲立ち的な役割を果たしています。 ①児童生徒に対する相談・助言 ②保護者や教職員に対する相談(カウンセリング、コンサルテーション) ③校内会議等への参加 ④教職員や児童生徒への研修や講話 ⑤相談者への心理的な見立てや対応 ⑥ストレスチェックやストレスマネジメント等の予防的対応 ⑦事件・事故等の緊急対応における被害児童生徒の心のケアなどがあげられます。(文部科学省より抜粋)
児童生徒の相談内容は、不登校、いじめ、友人関係、家庭関係、学習関係等多岐にわたっており、近年は発達障害、精神疾患、性同一性障害(LGBT)、起立性調節障害、リストカット等の自傷行為やその他の問題行動などますます多様になってきています。
 また「不登校問題に関する調査研究協力者会議」において、不登校の新たな原因として、発達障害が原因で人間関係や学習につまずき、不登校に至っている事例も少なくないとされており、全不登校生徒の中で発達障害の割合が3割くらいと言われています。
 立志舎高校では、開校してから25年間、個性の強い生徒をたくさん受け入れてきました。 上記の特性も個性の一つであると考えています。
 私自身今までの経験から、生徒たちの社会生活の場である「学校」という現場で、生徒保護者の目線に合わせ先生方と協力をしながら支援を行うことの必要性を強く感じてきました。生徒たちにとって、安心できる環境を整えてあげること、そして安心して接することの出来る人間関係を体験することで、それぞれの個性が良い影響へと繋がり、その生徒を成長させていけると考えています。今後も長年の経験と知識を活かし、学校と連携を取りながら生徒保護者が安心して学校生活を送れるように支援していきたいと思っています。